恩人との思い出
2022年5月16日。私の育ての親であるお父さんが亡くなりました。
私が0歳の小さい頃から子守りをしてくれた家庭。実の子のように育ててくれて、たくさんの愛情を受けていると感じています。実家の隣の家のお父さん、お母さん。私の家庭は離婚して母子家庭なので、お父さんは実の父のように慕っています。
大学から秋田を離れて仙台で理学療法士を目指すために学んでいましたが、帰省して実家へ帰ってくる様子をうかがうとすぐに「あがって茶っこでも飲んでげ」と招きいれてくれました。
福島、東京とどんどん離れていってしまう私でしたが、帰省するたびに仕事のことや家庭のことを聞いてくれ、近況報告とともに昔話をすることも楽しみでした。
家の前でバーベキューをしたり、花火をしたり、旧小学校のグラウンドで凧揚げをしてくれたり。
旅行へも連れて行ってくれて、楽しい思い出を作ってくれたことを覚えています。
学生時代の習い事にも車で送迎してくれて、今思うとたくさん迷惑かけたなと感じています。でも、車の中でも気さくに学校生活のことを聞いてくれたり、おどけて話してくれたりといつも気にかけてくれました。時には、帰宅後にお腹をすかせた食わず嫌いの私に、卵焼きをつくってくれて食べさせてくれたこともありました。
妻と結婚する前の交際中も家へ招き入れてくれて、嬉しそうに話してくれました。その彼女と結婚する際にも、結婚式にはぜひとも招待したい思いは強く、喜んで参列してくれました。小さい頃からお世話になってきたお礼を、式での晴れ舞台をみせてあげることで恩返しにできるかなと思って。優しく見守ってくれる様子をみて、私自身安心する気持ちとともに、ありがとうという言葉が胸に広がっていたことを覚えています。
東京に修行に行ってからは、帰省のたびに家にあがらせてもらってお父さんの体のケア。肩こりや腰が気になる年齢なので、学んできた技術を思う存分出して、リラックスしてもらえるようにベストを尽くす!という気持ちで施術。施術後は楽になったと言ってくれて、毎月来てもらえるといいのになといってくれる言葉に恥ずかしさを感じながら、できればそうしてあげたいんだよなという辛い気持ちがでてしまうなんともいえない気持ち。秋田と東京という物理的な遠い距離が縮まれてと何度思ったことか。小さい頃は、父さんの背中にのって足踏みでマッサージをしていたものが、しっかりと施術するように成長したことが恩返しできたかなと感じる点です。
そして、長女の出産。子供がうまれたらぜひみてほしい、抱っこしてほしいという想いもありました。長女が生まれてからはじめての帰省。孫をみてもらうような気持ちでしょうか、3つ目の恩返しができたのかなと感じる機会。長女を抱っこしてもらって、また、子供をあやす様子をみてもらって、小さかった子供が親になる様子を見届けてもらえたことを嬉しく感じていました。
子供が生まれてからも、帰省するごとに子供たちもつれて顔をみせることは変わりありません。妻が子供と実家にいる間も、私一人で実家と、隣の家で過ごさせてもらい、家庭の報告をしていました。実家で過ごすより、隣の家で過ごす時間のほうが長くなっていた気がします。それほど、落ち着く空間。
あの優しい言葉で招き入れてくれることはもうないのだと思うと、とても悲しくなります。もっと一緒に過ごしたかった、と悔やむ気持ちでいっぱいです。それでも、小さい頃からお世話になっていた感謝の気持ちは少しでも表せたのかなと思っています。
小さい頃、どんな思い出を作ってもらえていたかなと振り返り、思わず涙して、思い出し笑いして過ごしています。楽しかったお父さんとの時間。これからも大事に記憶にとどめていきます。挨拶しにいくからね。これからも活躍する様子を見届けてください。

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