
「産後の尿もれや骨盤痛対策に骨盤底筋を鍛えたい」
産後の骨盤周りの痛みや尿もれなどのマイナートラブルを経験する方は、骨盤底筋が弱まっている可能性があり、骨盤底筋のトレーニング方法について気になることがあります。
妊娠中に尿もれなどがある場合は、妊娠中から骨盤底筋の機能問題があることも考えられ、産後のトラブルを見据えて妊娠中から整えておきたいという想いもあります。
この記事では、産後の骨盤底筋のトレーニング方法について産褥期から行える方法を解説しています。
今回紹介する方法は、妊娠中からも行える方法でもあり、体の状態に合わせて実践してみてもよい内容となっています。まずは、基礎的なトレーニング方法を学んでいただき、次回以降で応用的な骨盤底筋のトレーニング方法も紹介していきます。
産後の骨盤底筋のトレーニング方法を学ぶ!

骨盤底筋とは
骨盤の下方に位置していて、膀胱、子宮、直腸など骨盤内の臓器を支える役割があり筋肉を指します。複数の筋肉から構成されるため、骨盤底筋群と称されることもあります。尿道や肛門の部分も骨盤底筋から構成されているため、排尿や排便のコントロールする働きもあります。
骨盤底筋を以下に記載します。今回は、こんなに種類があるんだなと把握するだけで結構です。
肛門挙筋(腸骨尾骨筋、恥骨尾骨筋、恥骨直腸筋)
会陰横筋
球海綿体筋
外肛門括約筋
外尿道括約筋
坐骨海綿体筋など
妊娠中から分娩での骨盤底筋のダメージ
妊娠中には、骨盤底筋が弱まる方もいらっしゃいます。その場合、咳やくしゃみの際に、尿もれが生じてします腹圧性尿失禁という状態が併発することがあります。妊娠中期から後期にお腹が大きくなることで、膀胱を介して骨盤底筋に負荷が加わることが要因となることがあります。
自然分娩では、赤ちゃんの週数にもよりますが10ヶ月で生まれる場合、出産時の頭位の平均は33cmとされています。この場合、赤ちゃんの頭の直径は10cmほど。産道を通って出産するときは、赤ちゃんの頭蓋骨は柔らかさを活かして形を変えながら生まれてくるため、直径10cmほどではないですが同等の負荷が会陰部に加わります。つまり、会陰部が10cmほど伸張される負荷が加わるということです。
また、分娩時の状況によっては会陰切開という人工的なダメージや会陰裂傷という損傷を起こすこともあるので、骨盤底筋の機能障害から腹圧性尿失禁を呈する方もいらっしゃいます。
産褥から行える骨盤底筋エクササイズ
産後1日目から段階的に実践できる骨盤底筋エクササイズを紹介します。医師からの判断や体の状態をもとに少しずつ実践してみましょう。
①骨盤底筋を使う準備の呼吸方法
- 仰向けになって両膝を立てます
- 両手は腰骨の内側の腹部においておきます
- 尾骨を両膝の間に近づけるように骨盤を後傾させます
- 骨盤を後傾させることで腰が平らになることを確認します
- その状態で大きく息を吸ってからお腹をすぼめるように息を吐いていきます
お腹が引き締まる感じがあれば良好です。
10回実践してみましょう。可能であれば10回2セット行います。日中時間をみつけて複数回行っても良いです。
【ポイント】
・腰をフラットにする
産後は、妊娠中の影響で腰が反りやすい状況にあり力がいれにくくなるため骨盤を後傾させてフラットにします。
・息を吐いて行く際に、腹部が引き締まる感じがあるかを確認しましょう。
②お尻の穴を引き上げるイメージ
- 仰向けになって両膝を立てます
- 尾骨を両膝の間に近づけるように骨盤を後傾させます
- 骨盤を後傾させることで腰が平らになることを確認します
- お尻の穴を頭のてっぺんに向かって引き上げるようにお尻を引きあげます
- うまくできれば下腹部の引き締め感も感じられます
- 力を抜いてリラックスしていきます
- 引き上げて、力を抜いてという動作を繰り返し10回行います。
【ポイント】
・お尻の穴を引き上げるときに息を吐きながら行ってみる
呼吸にあわせられるようであれば息を吐きながら行うと骨盤底筋の働きを強めることができます。
・お尻の穴の引き上げるというイメージがわなかい場合、排便を我慢するということも可能です。
体の中心を通って、頭のてっぺんに引き上げるように意識して使ってみましょう。
③尿検査のときにおしっこを途中でとめるイメージ
- 先ほどと同様の姿勢をとります
- おしっこを途中でとめるような意識をします
- このとき、下腹部に引き締め感があるか確認します
- 息を吐きながら途中でとめるように実践できると良いです
- 力を入れたあとは、力を抜いてリラックスしていきます
先ほどと同様に、繰り返し10回行いましょう。
骨盤底筋をしっかり使うためのコンディショニングストレッチ3選
背骨を動かし、骨盤底筋の働きを高められるようなケアを3つ紹介しています。この機会にぜひトライしてみましょう。
①自律神経を整えるキャット運動
猫のようなしなる動きを利用して背骨の柔軟性を引き出すための運動です。背骨を意識して動かすことで、胸郭の柔軟性も高まり、骨盤底筋の使いやすさが高まります。解剖学的な特徴については、また別途まとめます。
- 四つ這いになります(肩の下に手が、腰の下に膝が位置するように姿勢を整えます)
- 腰を丸めるようにしながら背中全体を猫背になるように丸めます
- 次に腰を反るように骨盤を動かしながら背中を反っていきます
- 体を丸めるときは息を吸いながら。反るときは息を吐きながら行いましょう
- この動きを5回連続で行いましょう
②丸くなった姿勢も改善!胸椎周りをねじる上半身回旋ストレッチ
呼吸は胸郭の柔軟性を高めると楽に行うことができます。以下の動画で上半身回旋ストレッチを確認してみましょう。
③ウェスト引き締め効果も!胸椎〜腰まわりをねじる下半身ストレッチ
背骨の下部と骨盤を整えるためのストレッチです。背骨と骨盤を動かすようなストレッチを行うことで、骨盤底筋を管理している腰部周りの神経が位置している腰から骨盤周りを整えていきます。結果、骨盤底筋の活動を高められることを狙っています。
まとめ:産後の骨盤ケアは骨盤底筋をしっかり使えるように!
妊娠中から分娩での出産により負荷やダメージを負いやすい骨盤底筋。産後の骨盤底筋の整え方を学び、骨盤ケアをしながらお子様との育児を楽しんでいけますように。
- 骨盤底筋とは
- 産前〜分娩時の骨盤底筋のダメージについて
- 産後の骨盤底筋エクササイズについて
現在、妊活中、不妊クリニック通院して不妊治療しながら経過をみているなど、体作りや対策方法についてなにか気になることがある方は、こちらの「公式Line」から気軽にお問い合わせください。
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