前回、産後に実践したい骨盤底筋トレーニングの方法について解説しました。骨盤底筋トレーニングをはじめて実践する場合、感覚がなかなかつかめず、背部の筋肉が緊張したり、他の筋肉の緊張が高まってしまい正しく使っているのかわからなくなることがあります。前回の記事の内容も参考にしつつ、この記事では骨盤底筋を正しく使うためのコンディショニング方法を筋膜リリースの観点から紹介していきます。
産後の骨盤底筋トレーニングを知りたい|産後の骨盤底筋の整え方を解説
産後の骨盤底筋トレーニングの方法については、こちらをご覧ください。
骨盤底筋を正しく使うための筋膜リリースについて解説

骨盤底筋と関連する筋膜
筋膜のつながりをわかりやすく捉えるものとしてアナトミートレインで紹介されている解剖知識を紹介します。骨盤底筋は、脚の内転筋や脚のスネの内側の筋肉との筋膜での連結があります。また、上方では腸腰筋や横隔膜、首周りの筋肉など体を支える役割をもつインナーマッスルとの筋膜連結があります。
また、骨盤底筋は、表層、中層、深層の3層構造になっていて、骨盤内の臓器とのつながりも確認されています。厳密には、アナトミートレインで紹介されている筋膜連結だけではなく、お尻の筋肉である大殿筋とのつながりなどもありますが、詳しくは症例レポートなどで紹介することになると思います。
まず大切なのは、骨盤底筋と脚の筋膜とのつながりがあることを次に紹介する筋膜リリースに活かしていきます。
骨盤底筋が使えているか確認するテスト
準備:骨盤底筋を使う準備の呼吸方法
- 仰向けになって両膝を立てます
- 両手は腰骨の内側の腹部においておきます
- 尾骨を両膝の間に近づけるように骨盤を後傾させます
- 骨盤を後傾させることで腰が平らになることを確認します
- その状態で大きく息を吸ってからお腹をすぼめるように息を吐いていきます
お腹が引き締まる感じがあれば良好です。
はじめての骨盤底筋テスト①:お尻の穴を引き上げる
- 仰向けになって両膝を立てます
- お尻の穴を頭のてっぺんに向かって引き上げるようにお尻を引きあげます
- 引き上げたあとは力を抜いてリラックスしていきます
【判断】
・うまくできればお尻の穴の引き上げとともに、下腹部の引き締め感も感じられます
はじめての骨盤底筋テスト②:おしっこを途中でとめる
- 仰向けになって両膝を立てます
- おしっこを途中でとめるような意識をします
- 力を入れたあとは、力を抜いてリラックスしていきます
【判断】
・うまくできればお尻の穴の引き上げとともに、下腹部の引き締め感も感じられます
PERFECTスコア
骨盤底筋の働きを客観的に評価するために海外で利用されいてる評価スケールです。筋力(Power)、持久性(Endurance)、反復性(Repititions)、収縮の速さ(Fast Contractions)、機能性(Every、Contractions、Timed)の頭文字をとっており、実際は、超音波エコーや筋電図を利用して評価していきます。今回は機器を用いなくても、実践的にチェックする方法で紹介します。
筋力:P
骨盤底筋を力強く収縮することができるか
持久性:E
骨盤底筋を10秒間のうちどのくらい力強い収縮を維持できるか
反復性:R
力強い収縮を何回反復して繰り返して行うことができるか
収縮の速さ:FC
10秒間にどれだけ早く収縮をさせることができるか
お尻の穴を引き上げる、もしくはおしっこを途中でとめるというような使い方をしたときに、上記のような使い方が実践できるかどうかが見極めポイントになります。
骨盤底筋を使っている意識を高めるための筋膜リリース
骨盤底筋を正しく使っていくための筋膜リリースのポイントを紹介していきます。
注意として、今回紹介する筋膜リリースは産後の方や、尿もれなどのマイナートラブルがある方を対象にしています。妊婦さんはご自身で実施することを避けていただきたいです。妊娠中の実践では、早産になる可能性があるため、気になる方は筋膜リリース以外の別の方法で整えていきます。
筋膜リリースのための基礎知識
これから紹介するポイントをほぐすときは、手の指か肘を利用してほぐします。テニスボールや筋膜ほぐすボールなどほぐすのに適したものをお持ちの方はそちらを利用してもけっこうです。
まずは、ポイントに人差し指、中指をくっつけた状態で指の腹の部分をあてましょう。
圧をかけて円を描くようにほぐしたときに痛い感じや硬い感じがあるかどうか確認します。
ほぐす時は、指もしくは肘(もしくは道具)で圧をかけたまま、痛気持ちいい程度で60秒間ほぐします。最大でも120〜180秒の間でほぐすことで十分です。
※まったく痛くない程度を0、泣き叫ぶくらい痛い程度を10としたとき、8レベルまでいかないように力加減を調整しましょう。
①太ももの内側の筋膜リリース
- 椅子に座った状態で片方の脚を膝にのせます
- 太ももの内側を三等分したときの脚の付け根側1/3の部分の中央付近をほぐします
- 硬い点や痛い点があったら、痛みにあわせて「*」の記号をイメージしながらあらゆる方向にほぐします


②膝の内側筋肉の筋膜リリース
- 椅子に座った状態で片方の膝を伸ばしたときに膝の内側の盛り上がりを確認します
- 盛り上がった筋肉のだいたい真ん中で、硬い場所や痛い場所をみつけます
- 硬い点や痛い点があったら、痛みにあわせて「*」の記号をイメージしながらあらゆる方向にほぐします


③スネの内側の筋膜リリース
- 椅子に座った状態で片方の脚を膝にのせます
- 内くるぶしから指4本分の部分やそのエリアで、脚のスネの骨に対して指で圧をかけます
- 硬い点や痛い点があったら、痛みにあわせて「*」の記号をイメージしながらあらゆる方向にほぐします


3点ともに、60〜180秒の間でまんべんなくほぐしていきましょう。はじめに痛かった点でも、徐々に痛みが落ち着いていく感じもでてくると思います。
では、筋膜リリースが終わったら、前回の記事での紹介した基礎的な骨盤底筋の使い方について実践してみましょう。使っている感じがわかりやすくなりましたか?使いやすさが感じられていれば、筋膜リリースを介しての骨盤底筋の整え方は良好です。
①骨盤底筋を使う準備の呼吸方法
②お尻の穴を引き上げるイメージ
③尿検査のときにおしっこを途中でとめるイメージ
基礎的な骨盤底筋の使い方については、こちらの記事で復習してみてください。応用的なトレーニング方法は、また別の記事にてまとめていきます。
産後の骨盤底筋トレーニングを知りたい|産後の骨盤底筋の整え方を解説
まとめ:筋膜リリースで骨盤底筋をしっかり正しく使う
産後の骨盤底筋の整え方や尿もれや臓器脱がある方の対策になる骨盤底筋のコンディショニングを筋膜リリースの観点から紹介しました。
- 骨盤底筋と筋膜のつながり
- 骨盤底筋の機能評価
- 骨盤底筋を正しく使うための筋膜リリース
現在、妊活中、不妊クリニック通院して不妊治療しながら経過をみているなど、体作りや対策方法についてなにか気になることがある方は、こちらの「公式Line」から気軽にお問い合わせください。
骨盤底筋の使い方は、ご自身で確認することが難しい場合もあります。公式Lineを通じてオンライン相談や、店舗来店が可能な方は直接確認することもできますので気軽にご相談ください。
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